今春、

鼻づまりが「かなりつらい」と感じた方は、

「次のシーズンに備えて」

秋のうちに焼灼治療!!

 

アレルギー性鼻炎の外科治療

〜 鼻粘膜焼灼 〜

<緊急追記(2005年・春)>

重 要 !!

<シーズン前の施術です!!>

このたびマスコミを通じて重大な誤解を招く情報が流布されております。ご注意ください。

・花粉症の場合、「シーズンに入り、症状が進んだ時期でも、アルゴンプラズマ治療ならできる」とTVコメントがありました。

 しかし、これは「非常に困難である」というのが、レーザー治療も含めて一般的見解です。

 以前からこの点については、診療現場及び本HPでご案内してきた、本治療の重要ポイントのひとつです。

・従って、月以降、花粉の飛散シーズン中の焼灼は、原則として行いません。

理 由

・APC治療が国内で鼻粘膜焼灼に一般導入されたのは 2000年秋であり、同年12月より当院はこの実践を積み重ねてきました。もとより当地は全国有数の花粉大量飛散地域(環境庁調査による)であり、そこでの経験から言ってもシーズン中の焼灼は望ましくないと結論しています。

すでに大量に花粉吸引が続いて重症化している状態では、「花粉に粘膜が刺激され続けた結果、普段以上に敏感になっている(「過敏性」が亢進している)」のです。

 「痛みの感度」も高くなってしまい、まず第一に「局所麻酔が効きにくくなる」傾向があります。

・さらに、術後一過性(通常で2,3週間)の鼻水・鼻づまり状態を生じますが、シーズン中の焼灼では、これがより強く現れてしまい、その緩解に要する期間も長期化して、一ヶ月以上かかることもあります。

 「出遅れた時期」に焼灼したら、1ヶ月から、場合により2ヶ月も粘膜の安定に時間がかかる可能性もあり、、「花粉シーズンが終わる頃」を過ぎてしまいます。

 肝心な時期に粘膜が落ち着ききれず、結局「余計に長くしんどいシーズン」にしてしまいます。(かつて、テレビマスコミ登場の他院での施術で、実際にそうなってしまった方からの相談もありました。)

 そのようなことが予見できる時期に、敢えて焼灼する意義はあまりないでしょう。

*これはレーザー焼灼・アルゴン焼灼とも、程度の差はあっても同様の傾向です。

飛散時期(直前を含む)≒「症状進行期 真っ最中」のアルゴンプラズマ焼灼治療をマスコミに登場してまで喧伝する筋の姿勢には、多大な疑問を禁じ得ません。

かつて、特定の医師(都内、某医院など)に限って、本格飛散が始まった時期に、そのようなアピールをテレビなどで繰り返しておりました。まったく困りものです。

 「鼻水が多く」ても、アルゴンガスの風圧で吹き飛ばすから「焼灼は可能」という言い方ばかり強調されています。

・しかし、「飛散時期であっても焼灼をすべきか」、「その時期に施術したら、術後しばらくの間どうなるか」、ということにまで、しっかり言及した報道にはなっていません。

・ちなみに、私の知りうる限り、「シーズン進行期、重症化状態」時点でのAPC治療推奨をふれ回るような医療関係者がいるとは、ほかでは聞いたことがありません。

 むしろ、治療指針としては、はっきりとこれを否定し、「シーズン中は不可」の論調が主流です。自身の経験からいっても、これを支持します。

・少なくとも、 2004年春のような、「飛散の極めて少なかった年」にしか治療経験がないまま、実践の蓄積の乏しいままにマスコミに登場して大宣伝をしたことは、あってはならないと断じます。

・APCの治療効果を最大限高めるには、鼻の「下甲介」という部分の粘膜の全面焼灼に努めることが肝要です。それに要する時間は、たしかにレーザーより短時間で済むものですが、それでも一方の鼻で通常で5分程度、完璧にスムーズに行えても3分以上は要します。

・ほとんどの日本人は、鼻中隔彎曲などである程度構造が入り組んでいるため、しっかり十分に焼灼をしようとすれば、操作に少々手間取るはずなのです。

・加えて、症状が重症化しているほど、焼灼中の分泌が著しくなります。つまり、視野が確保しづらくなる分、施術時間は余計にかかるはずです。

APCにおいて「両側で3分程度」などという謳い文句は、器具の操作を考えると正味片側1分余りということになります。重症状態に対して、その程度の時間で十分な範囲が処理できているというのは、まずありえない話です。

 「焼灼面積が小」さければ短時間で済ませられますし、「シーズン中の焼灼」でも術後の副症状は比較的軽いのでしょうが、それでは治療本来の目的が十分に果たされることも少ないでしょう。

 その場合、結果的に十分な効果を得られないケースばかり増えて目立つようになることが、危惧されます。

・不見識な大宣伝と、不十分な治療内容で、APC治療の長所が生かされきれず、逆にマイナスイメージが広まってしまうことを心配しております。

「シーズンが進んで、いよいよつらくなってきた鼻づまりが、焼灼したその場ですぐに楽になる」というわけではありません!!

 焼灼治療は、「本当に重症」で、鼻が苦しくて仕方がなくなる、という方のために、ベターな治療選択肢のひとつであること、

 そしてなにより重要なのは、シーズンに計画的に施術すべきであるものであることを、改めて申し添えます。

たとえが適当ではないかもしれませんが、

 「体を鍛えるために、乾布摩擦、薄着をする、寒中水泳をする」という考え方はありますが、すでに風邪を引いて、具合悪い最中に、するべきではないのは、常識でおわかりですよね?

・某医の、マスコミにおける「シーズン中でも灼くことは可能」という物言いは、「風邪を引いていても、水泳をするのは『可能』」といっているに近いと捉えます。

 

以下、下記本文をご参考に加療をご検討ください。

鼻粘膜焼灼紹介  

 

鼻粘膜焼灼

アレルギー性鼻炎などの治療に、症状を起こす鼻粘膜を「焼灼」して、その局所症状を抑えるという方法があります。これを「鼻粘膜焼灼術」といいます。

 焼灼方法として、薬品による「化学焼灼」、電極を当てる「電気焼灼」、近年現れた「高周波」や「レーザー」での焼灼などがあります。

焼灼の意義

アレルギー反応を起こした鼻粘膜は、「1、くしゃみ(=過剰反射)」・「2、鼻みず(=分泌過剰)」・「3、鼻づまり(=粘膜の浮腫)」という症状を引き起こします。

これは、 「異物を気道に入れない、排除する」という鼻粘膜本来の生理現象が過剰に現れてしまう状態(=アレルギー反応)という見方ができます。


 「鼻粘膜焼灼術」とは、ある種の「ヤケド」を粘膜に起こし、粘膜の過剰反応を抑制しようという治療です。
 表現が適当ではないかも知れませんが、過剰反応している粘膜を、「鈍らせる」「おとなしくさせる」治療と言えます。

APCの採用

 

レーザーの導入

 当院では2000年より「アルゴンプラズマ凝固療法 Argon Plasma Coagulation -「APC療法」を採用しております。

 APCは、2000年秋に耳鼻科的治療に対して一般実用化され、神奈川県内の診療所としてはもっとも早くから稼動しております。

  2015年、レーザー焼灼を導入しました。

効 果

よく、「鼻みずは治まっても、鼻づまりが続く」という経験のおありの方が少なくないでしょう。内服薬では、鼻みず・くしゃみに効いても、鼻づまりには効きにくいということが多いのです。それぞれ、発症機転が違うためです。

粘膜焼灼は、主要症状のうち、特に「鼻づまり」に対する効果が高く、内服薬と対照的・相補的な治療となります。

・このような特徴がある治療のため、よい適応となるケースは、

1、1年中、比較的強い鼻アレルギー症状が続き、薬の服用をなかなか休止し難い方

2、花粉症のピークに、各対策(服用・マスクなど)を施しても、特に鼻づまりで苦しむ方

などです。

焼灼療法の実際

 →手術所見画像へ

局所麻酔です
 

麻酔液を浸したガーゼを鼻に詰め、粘膜に浸透するのを待ちます。(治療時間の大半が麻酔待ちの時間)十分に麻酔を効かせてから行うので、痛みはほとんどありません。

 ただし、電流を用いるため、焼灼時に鼻の周囲や歯などに「ジンジン」「ビリビリ」と感じますが、痛むほどの苦痛ではありません。

原則として

「予定手術」です。

治療時間は、麻酔の浸透時間を長めに要すため、トータルで40-50分、ときに1時間以上要すこともあります。

 予め一度受診して所見確認の上、原則として、日時を改めて予定してから行います

*事前には一定期間、投薬も要します。そのためにも一旦受診が必要です。

*時間を要す「予定治療」のため、土曜日夕方からの治療は行っておりません。平日の午前・午後の診療時間内、前半の時間帯で予定を組みます。

術後は一時期、鼻がつまるので、通院が必要です。

術後は一定期間、焼灼の影響で鼻みず(特に数日間)、鼻づまり(2週間くらい)が強く現れます。

 ときに感染を生じたりもする恐れもあるので、しっかりと通院にて経過観察が必要です。約1ヶ月間、焼灼部位に「痂皮」が付着するので、適当な処置を要します。

直ちに症状が消えるのではありません。
 効果がでてくる目安は、「くしゃみ・むずむず感」の消失が1週間くらいから、「鼻づまり」の軽快は2,3週間後くらいからです。鼻みずの減少の程度には比較的個人差が出ます。

焼灼後の

有効度

 

ですから焼灼後も、「内服も併用していた方が、尚更に楽である」、という人もいます。

 この場合は「薬の効き方が良くなる」とか、薬の量や種類、服用期間が減らせるようになる、といった「効き目の実感」が得られます。

 実際、スギ飛散のピーク時期でもまったく症状を起こさなくなる人もいれば、さすがにある程度(かなり抑制されますが)は症状のでる人までまちまちです。

 ただし、「少しの効果も出ない」、というケースは例外的です。

治療の予約は、まず一度受診してから決めます。

 しばしば「電話予約」などのお問い合せがありますが、全く未受診の方の場合は、実際に所見を確認してからでないと、原則行うわけには参りません。

 それは、患者さん自身が独断で「花粉症」「鼻炎(単に「鼻炎」という病名はありません。これではある種の症状を表現する言葉にすぎません。)と思っている場合、中には違う原因、違う病気(→たとえばこちら)で鼻みず、鼻づまりを呈していることがあるからです。

治療の時期

季節性アレルギー(スギ花粉症など)の場合は、季節前の治療が理想的です。焼灼後、完全に粘膜が落ち着くには1ヶ月くらいかかり、また効果は半年から1年は続くので、秋ごろ(9月〜11月)から灼いておくと、シーズンが楽に過ごせるでしょう。

 焼灼後、十分に粘膜が落ち着いた状態でシーズンに入れると、その効果が最大限に実感できるものと考えてください。

通年性アレルギーの場合は、いつ行っても良いでしょう。

 ただし、下記の通り、スギ花粉にもアレルギーがあって、例年、「シーズン」には症状がさらに激しくなる場合を除きます。

ただし、急性副鼻腔炎など、感染を伴っている場合は、これを制御してからとなります。

花粉症の

シーズン中・・・

症状が著しく強くなっている「極期」(2〜3月)では、焼灼後の急性症状が非常に強くなり、効果も表れにくいため原則行いません

 また、そういう状態では、局所麻酔が効きにくくなる(=痛い)ケースも、経験上散見しています。

どんな人が対象?

基本的には誰にでも、ある程度以上の効果は期待できます。

中でも特に有用といえるのは、

・内服薬などでも「鼻づまり」がひどいままの人、

・薬は効くが、年間通じて長期に内服を要す人、

・極力内服を避けたい人(妊娠(を予定したい)、他の服用薬が多いなど)、

などです。

こんな人は・・・

心臓ペースメーカー:APCは電気を通じますので、原則として行いません

レーザー焼灼を選択します。

・いわゆる「蓄膿症」:増悪因子の一つとしての鼻アレルギーを解決する、という目的で補助的に行うことはありますが、ポリープ(鼻茸:ハナタケ)などを直接治療することはできません。                 (→蓄膿症の治療)

子供は・・・

 小学生以上なら、なんとか可能です。高学年なら通常は可能でしょう。

 それほど痛みのある治療ではないので、術中、ある程度の「聞き分け」、常識的な「我慢」ができる子なら一考してもよいでしょう。最年少では実際に9歳で受けられた子もいます。

 要は、「本人次第」です。決して「子供だからできない」わけではありません。

注  意

焼灼して、その場から直ちに症状が楽になるわけではありません!! 粘膜が落ち着いてくる数週間後から効果が現れます。

だから「症状増悪期の前」=季節の焼灼が効果的なのです。

スギに刺激される前に粘膜が安定するからです。

効果の持続

粘膜のアレルギー反応は徐々に再生するので、早い人で半年から、長くて2年で症状が再燃し始めます。

* 「未来永劫、完全に「治す」、症状を完全に消す」、という風に極端に理想を高く考えてしまうと人にとっては「裏切られて」しまうでしょう。

 ですから、適当な投薬で十分効果の得られる人には、必ずしも「お勧め」ではありません。

 あくまでも、鼻づまりを中心に、症状を「減弱」「抑制」する治療ですから、「どうにもつまって苦しくてしょうがない」、「くしゃみが四六時中つづいてしかたがない」という、中等〜重症の方には、それが軽くなるという意味で意義が大きい治療です。

 

 施術は、平日の日中のみです。

 鼻づまりの原因は様々です。アレルギー性鼻炎があっても、実はそれ以上になんらかの鼻づまりを生じている病気が潜んでいることも少なくありません。

 ですから、どうしても受診の上、鼻内を確認しなければなりません。

 施術日は、その診察の際に、日時を決めていくことになります。

 

 時間を要す治療なので、「夕方遅めに」などという希望には応じられません。

 初めて来院して、「その場ですぐ」に、というわけにも参りません

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実際に受けるためには・・・ 花粉症の一般的注意点