花粉症について

すでに各種メディアから、いろいろな情報が出回っていますが、

診療現場に携わっていると、そのわりに必ずしも十分な理解を得られていないと思われる

事象に出遭うことががめずらしくありません。

限られた診療時間では、

一般論についてまでは、説明にも限界があります。

みなさんの知識の整理の一助に、ここに思いつくままに列挙・追記していきたいと思います。

初めて花粉症を発症した?

初めて発症した時、ほとんどの人が罹患したことを否定したがります。自覚するのが遅くなる分、予防行動が足りなくて、結局症状がつらくなってしまった、という方をよく目にします。

 未発症の人でも、この時期マスクをしていた方が発病予防になるといわれているくらいです。

「微妙な症状」が出てきたら、ある意味「積極的に」発症した状態という認識を持って、マスク着用など予防に努めたほうが賢明です。

特に、我慢ばかりし続けていると、「鼻づまりがどうにもならなく」なります。ひどくしすぎると、薬を飲み始めてもすぐには楽になりません。
薬の効き方
  一般に「抗アレルギー薬」で症状を緩和することから始まります。

 この薬物群は、「飲み続けて約2週間程度」経過したころに効果は最大となります。

薬剤によっては、飲んで数時間ほどから効果は出始めますが、その時期で「効果判定」とするわけにはいきません。

季節前(”初期”)投与 上記理由から、本格飛散時期の「2週間前」に服用を始めるとよいといわれるようになりました。 3月上旬に爆発的な飛散をしました(2005年)が、事前から服用していた患者さんでは、症状の「極端な増悪」を防げたケースが、少なくありませんでした。
飛散時期・服用開始時期

 飛散開始時期を前もって厳密に予測することは困難です。そこで、各自において、例年、症状が急につらくなるおおよその日時を把握しておくことです。

 その約2週間前から服用を開始すると、薬の効果としては最大限となります。

*その最大効果が、「その人にとって十分になる」とは限りません。

 よりよい効果を得るためには、定期的な診察で効果判定を繰り返し、必要があれば適宜薬剤の変更・追加などを検討することになります。

自己予測が困難な方は、「ちょっとむずむずしてきたかな」「ときどき変かな」、という時期を服用開始時期と考えて差し支えないでしょう。

(その時期、実際粘膜状態を診ると結構アレルギー性変化が進んでいるものです。)

薬物服用中 ・一旦効果が最大限に表れたとしても、服用の途絶や大量の花粉に被曝すれば、それなりに症状は表れます。 だから、「楽になっても」マスクをした方がよいのです。
「薬を飲めば発症しない?」

と、極端なことを求めようとする方がいます。

「傘さえ差していれば、雨に濡れることがない」と言えますか?

 かといって、「結局濡れるのなら傘を差すのは無駄」、といって傘を差さないものでしょうか?

症状を「少しでも軽くしよう」、「我慢できる程度」にしよう、「気にならない程度」にしようというのが、薬の作用目的です。
「時期前」にだけ服用しておけばよい?

「発症前の時期に飲んでおくだけでよい」と都合よく誤解している方もあるようです。

 「せっかく差しておいた傘を、雨が降っている最中に畳んでも濡れない」・・・?

 

症状が進んでから服用を始める。

 雨に打たれてから傘を差しても、しばらく服は濡れていますよね。

 傘を差してもすぐには服は乾きませんね。

大概の人がこのパターンです。

 効果が現れるのに余計日にちがかかるのをご理解ください。

咽頭・喉頭症状

花粉症の発症に伴い、「のどちんこ」の辺りから奥に「かゆみ・違和感」を感じることがあります。「痛み」に近い感覚を訴えることも珍しくありません。

 さらに咳症状まで伴うこともあります。(乾いた咳が多い)

ある程度重症化すると、喉頭粘膜がアレルギー性に色調変化しているのが、内視鏡で確認できることがあります。
マスクについて

どんなマスクにせよ、ずっと着け続けられれば効用はあるはずです。

立体型の方が、隙間が少なく、鼻や口への圧迫感が軽いので、装着し続けやすいでしょう。

見た目に抵抗がある方でも、一度つけてみれば、その「装着感」はわかると思います。

ひとたび花粉を吸って、症状が出てしまった分については、マスクの効用はありません。鼻が詰まってからマスクをしても遅いです。

一般に、ガーゼタイプより、不織布タイプの方が目が細かく、花粉が通過しにくいといわれてます。これらは通常使い捨て型です。

ガーゼタイプを洗って再使用し続けるのも結構ですが、漸次劣化するので、いずれにしても使い捨てるしかありません。

どうせなら単価の安い使い捨てで、より楽に装着できれば、まだよいのではないでしょうか

<実際の声から>

極端に飛散が多い日に使用したマスクを、翌日使い回してはめた途端に鼻が詰まってきた、という笑えない話があります。