繰り返す蓄膿 

投稿者:ミサママ

投稿日: 3月 7日(日)15時49分7秒

以前にもこちらの掲示板を利用させていただきました。その節はありがとうございました。おかげさまで、娘の蓄膿は少量のマクロライド長期投与の治療で改善しました。しかし、その2ヵ月後に、風邪を引いて高熱がでて、ひどい鼻づまりになりました。そのときは、いままで使ったことのない抗生物質を5日間飲んでくださいといわれ、飲みましたが、改善が見られませんでした。その後、バナン、4日間・ジスロマック 3日間(1週間の効き目があるとのこと)を飲み、治りました。
そして、その1ヵ月後の今、鼻づまりに悩まされてます。微熱があります。
また、耳鼻科へ行くと何種類もの抗生剤を飲まされるのかと思うと、心配です。
風邪を引くたびに、約2週間、抗生剤を飲まなければいけないのか?
薬をやめると、1週間ぐらいで鼻づまりが起こったということは
蓄膿が完治していなかったのか?
それとも蓄膿というものは、繰り返すものなのか?
7歳の娘ですが、くすりばかり飲まされて嫌!と言っています。私も抗生剤の乱用は、抗生剤の効かない菌ができると聞いたことがあり、心配です。
今後、どのようにするのがベストなのでしょうか?
アドバイスいただければうれしいです。

ミサママさんへ

投稿者:院長

投稿日: 3月 7日(日)21時56分17秒

一言で「鼻づまり」と表現する際に、その言葉の意味が人それぞれで違うので、症状の把握にしばしば困惑させられています。「鼻汁が多い」状態を指している場合と、鼻粘膜のむくみ・鼻中隔の彎曲・鼻茸など、鼻腔通気路が構造的に狭いために、文字通り「詰まっている」状態を指している場合と、大きくは二通りあるのです。
 前者は鼻をかめばそれなりに鼻は通り、後者はなかなかそうはいかないという違いがあるはずですが、例えば前者の状態を、頑なに後者であるかのごとき表現をされることがよくあるのです。症状の自覚の仕方や表現の仕方は、同じ「言葉」であってもその人それぞれの主観で、実は結構違うのです。
 そこで、「訴え」を聞いて、実際の「所見」を診て、「この人はこの状態をこう表現するのだ」という部分を捉えようと努めています。


 また、「蓄膿だから鼻が詰まる」という、よくある認識も話の混乱の元です。「蓄膿」という言葉自体、副鼻腔炎という「疾患」のひとつの側面・病態を表現しているにすぎません。臨床現場で実に説明とその理解において混乱を招きやすい単語です。この点は、一部の耳鼻科医ですら、色々な鼻症状・所見に対して安易に「蓄膿(症)」という言葉を使いすぎているように見え、「言葉による不安」を煽りかねないのではないかと、個人的には印象を持っています。
 何らかの原因で「鼻が詰まる状態」が続いているうちに、副鼻腔の炎症が急速に、あるいはゆっくりと進行し、洞内に分泌物(膿など)の貯留が生じてきた状態が「蓄膿」なのです。「蓄膿」状態は、「副鼻腔炎」によく見られる「現象」であって、「即ち鼻づまりの原因である」とは限らないのです。
 「鼻は通って」いても、構造的理由で、鼻呼吸の横道である自然口の通気が悪いと、副鼻腔炎は生じます。この場合、「蓄膿」現象はあっても、「(自覚できる)鼻の通りは悪くない」という場合だってあるのです。

 ですから、こういった文面だけのやりとりでは「認識の行き違い」を避けられません。ミサママさんの言う「鼻づまり」がどういった状態であるのか、決して把握しきることはできないのです。

 そういう点を踏まえて、必ずしもそちら方に当てはまるとは限らないことを承知の上で、ひとつの可能性・一般論として以下お読み下さい。

 「ひどい風邪がきっかけで、膿性鼻汁が顕著となりそれが続いている」とすれば、細菌感染が生じたものとまず捉えるところです。「蓄膿」状態に至っているかいないかはともかく、「細菌性の鼻・副鼻腔炎」として抗生物質使用は私でも選択します。
 抗生剤の通常使用は、「長くても2週間(そこまで続けるのは少数派です)」、できればもっと短期間で済ませたい、済ませるべきであるという認識で取り組んでいます。ただしマクロライドの少量投与はこの限りではありません。そもそも作用機序や使用目的が一般の抗生剤投与とは異なりますから。
 そこで、確かに現実問題として、短期間で同じような細菌感染状態を繰り返され、どうすべきか考えさせられるケース、私も頭痛の種としてしばしば遭遇します。
 そういう場合、ケースバイケースで抗生剤以外の投薬内容を試したりもしますが、薬だけの治療にはどうしても限界があると思います。こまめに処置を受けに来るよう勧める場合も少なくありません。
 ですが、「薬さえ飲ませていれば病気ははね返せる、防げる、治せる」と安易に考え、薬を「生活便利ツール」としか考えていないのでは?と印象を受ける親御さんに、少なからず遭遇するのも事実です。あたかも具合の悪いときに「無理を通す」ために薬を飲む、飲ませるという姿勢がありありなのです。
 ミサママさんと縁のある話かどうかは知る由もありませんが、よくある一般事例として、子供の体調不良にも拘わらず保育園に無理に預ける、預けるために「薬は飲ませにくい」とか、「朝晩しか飲ませられないから」などと、「事の優先順序」を逆にしているケースが実によくあります。

 そんな「大人の都合」が常に通用するような「魔法の薬」も「スーパーチャイルド」もありません。結局は「体が基本」なのです。
 この辺、無理を通そうとする風潮が強まったことも、耐性菌のはびこる一因といわれています。
 また、傍目に「治ったように見える」状態だけで「治った、良くなった」と自己判断して不完全な状態で中断されしまうこともよくあります。これではすぐにまた「悪く」なってしまいます。
 特に幼少のうちは体力的に無理は利きませんので、だからとって神経質に庇いすぎて良いこともありませんが、体調が落ち着くまで穏やかな環境で過ごせると理想なのです。

 例えば、「もう良くなったはずだからこのくらい(「すぐにでも保育園」、「明日にでも水泳再開」など)良いだろう」的な無理はさせず、治療の経過もいくらかゆったりした時間意識(だらだら治療を続けていればよいという意味ではありません。)で、取り計らうことも大切かと思います。