鼓膜の異常? 

投稿者:かえ  投稿日: 7月27日(日)20時45分46秒

初めまして、長年の悩みを相談させていただきます。28歳女性です。
小学生低学年のころから、耳に異常を感じています。
あくびをしたあと、飲み物を飲んだ後、話しているときになど、両耳とも、こま
くで音がして、その後、息をするたびに、空気の音がごーごーするほか、鼓膜が
動くのもわかります。
空気の音のせいで聞こえにくくなるし、鼓膜がふくらんだりしぼんだりするのも
気持ち悪いので、それをなくすために、強く息を吸い込むか、鼻の穴を手で閉じ
て、真空状態にして、軽く息を吸い込むようにします。すると、イメージとして
は鼓膜が元通りに小さくなるかんじでしょうか。音もなくなります。
しばらくはそれでいいのですが、またあくび等々をすると毎回同様の症状がでま
す。最初のころは、人間みんながそうなんだと思っていましたが、どうやら家族
に聞いてみると違うことがわかりました。
若い頃のかかりつけ(よく中耳炎になっていたので)の耳鼻科の先生に一度言い
ましたが、あまりとりあってくれず、耳も見たけどなんの異常もないよ(ただ今
思えば、普通の状態の鼓膜を見ていただいたからかも)と言われました。今はそ
の病院にはかよっていません。
日常の一部として、もう慣れていたために、ずっと意識していなかったのですが、
最近転職して、講師や教師としていろんな人の前で話すときに、大変困ることに
気づきました。話し続けていると、症状がでますので、生徒の声が聞こえにくく
なったり、それを改善しようと何度も鼻をすすったり、鼻に手をやったり・・・。
生徒から見ても見苦しいですし・・・。この症状がある限り、今の仕事を続ける
のは難しいとまで最近思い始めています。
病名や原因、治す方法などあるかどうか教えていただきたいのです。
参考になるかわかりませんが、聴力は25歳当時に50歳程度と診断されたこと
があります。改善されたかはわかりません。鼓膜が振動していない、や、鼓膜の
中の気圧が低いとも診断されたことがあります。が特に治療はなかったです。

お忙しいところ恐れ入りますが、どうかご意見のほど、よろしくお願いいたします。

「耳管開放症」という病態があります。
 お話の限りでは、その病態の可能性をまず念頭において、対処を検討するのがいいのかもしれません。

 耳管は通常閉じていて、ノドの呑み込む運動やあくび時のみ、一時的に開いて通気を保つのが正常です。ところが、常に耳管が「開いた」状態になりやすいと、呼吸音や自分の声が、中から通じてうるさく聞こえたり(自声強調)、という症状を呈すことがあると言われています。
 「適正に耳管が閉じる状態」を得られるようになれば、事は解決するのですが、実際の治療となると一筋縄にはいきません。「開き」が悪くなりすぎれば滲出性中耳炎の元になりますし、「普段は閉じていて、適度に開く」という絶妙な生理機能状態を人工的に作り出す、というのはそう簡単なものではないのです。人間の耳は、意外と精緻なことを当たり前に営んでいるものなのです。それがちょっとどっちかに狂っただけで、耳管開放になったり、滲出性中耳炎になったり。
 施設によっては、耳管開口部付近にシリコンを粘膜下注入してうまくいくこともある、というような話も聞きますが、どの医療機関でも普遍的に行われているものでもないと思います。
 まずは診断をつけなくてはなりませんから、耳管開放症の可能性で検査、さらには治療の対応をしてもらえそうな医療機関(対応可能か否かくらいは受診前に電話でお尋ねしても悪くはないでしょう)をあたってみてはどうでしょうか。
 残念ながら当院では、治療を行うまでの用意は今のところ持っておりません。
 治療を扱っている医療機関でも、その方法はそれぞれの事情でことなりましょうし、結局のところ完治しきれない、ということも珍しくはないようです。
 結局は長く付き合うことを余儀なくされるかもしれません。

 もう一つ、どういう訳か鼻をすすったりして、普通の人なら耳閉感を覚えるような状態にないと、却って耳に違和感を覚える、というケースを経験したことがあります。滲出性中耳炎にまで至り、鼓膜がかなり内陥しているのに、水を抜いたり、通気を施すと、普通は「すっきり」するところを、よけいに「違和感」を覚える、というケースです。
 そういうケースの一人では、明らかに「悪い状態」に順応してしまっていて、「良い状態」に違和感を覚える、という強い錯覚を持っていました。治療を続けるうちに「良い状態」を「体で覚えなおして」解決したこともあります。これは単に滲出性中耳炎に対してちの治療経験の一つですが。

 このように、同じような訴え方でも、事情は個別に異なることもあります。
ですが、耳管開放か否かという診断と、その場合に治療体制を用意している施設を最寄りで探して受診をするのがまずはベターではないでしょうか。
 その辺の体制の有無を一般論的に、事前にお尋ねするくらいは構わないと思いますよ。
「耳管開放症」は扱ってますか?、という位に。

 ただし、電話口で事細かに症状を言って診断を仰ぐとか、そのような判断を求める、というのはダメですよ。診てもいないのにそこまでは対応できるはずもありませんから。その点は当掲示板も同じです。

 それから、聴力低下もあるかのようなお話ですが、必ずしも耳管開放症とは関係あるとは限りません。「別物」ということもあり、検査で鑑別をしなくてはなりませんので、話を一気に混同しないでいてください。

ありがとうございました 

投稿者:かえ  投稿日: 7月28日(月)00時01分48秒

大変迅速に、また丁寧なお答えありがとうございました。
はじめて、診断名(可能性ですが)をいただきとても嬉しいです。
私も今、検索していろいろ見てみましたが、先生のおっしゃるとおり「耳管開放症」の可能性が高そうです。
完治するのは難しそうですが、対応可能な病院(少なそうですね・・・)を探してみようと思います。本当にありがとうございました。
先生のおかげで20年閉ざされてた道が開きそうです。