鼻茸と喘息 

投稿者:まさ  投稿日: 5月23日(金)06時50分44秒

 初めまして。よろしくお願いします。
 10代半ばの頃からは鼻づまりがあり、なんとか我慢して参りましたが、昨年夏ごろ匂いがしなくなり、近くの耳鼻科で治療を4ヶ月ほどしましたが、改善せず手術を勧められました。(その4ヶ月の間、ネブライザーと嗅覚神経に効く注射、そして投薬(かなりたくさん)と点鼻薬を続けました。ステロイドをしばらくつづけて処方されたこともありその間は嗅覚が戻りましたが、服薬を止めるとすぐ嗅覚障害に戻りました)
 そして、公立病院の耳鼻科で診察を受けました。中程度強の慢性副鼻くう炎で鼻茸もあるとの診断でした。そして2月25日に両鼻の手術を受け7日ほど入院をしました。また、そのころから痰や咳(特に夜中)がでたり、少し運動すると息苦しかったり、咳き込んでしまうなどの喘息に似た症状がありました。
退院後「クラリシッド」「ムコダイン」「マーズレン」「フルナーゼ点鼻薬」を服薬し、喘息の治療として「フルタイド200朝晩」「テオドール200朝晩」で治療を受けていました。
 しかし、手術をして50日くらい経った頃から鼻がつまりはじめ、つい先日(手術後80日)スコープでの診断で「鼻茸が再発している」との診断を受けました。匂い神経の近くなのでまた、嗅覚障害になるかもしれないと言われましたが、とうとう2・3日前から匂いがしなくなりました。また、CTでは左側に鼻膿が溜まっている。とも言われました。喘息の方は現在のところ日常生活に支障はありません。

そこで相談なのですが。

@  「アスピリン喘息」ではないでしょうか。だとすれば、どのようにしたらいいでしょうか。
A  「テオドール」と「クラリシッド」は一緒に飲んではいけないと書いてあったのですが、いかがでしょうか。
B  こんなに早く鼻茸が再発するものなのでしょうか。
C  外来で再手術(鼻茸)する方がよいといわれていますが、いかがでしょうか。また、手術をしても再発することにならないでしょうか。
D  根治的な治療はどうしたらいいのでしょうか。

お話を聞く限り、「アスピリン喘息(AIA)」の主徴に準じているようですね。ただし、この場で断言することはできないことをご了承くださ?「。実際、アスピリンなどの消炎鎮痛薬で喘息発作の経験はおありでしょうか?あるいはもうそういう服用を避けてるのでしょうか。

 AIAとして一般論を申しますと、すでにご存じかもしれませんが、残念ながらなかなか「治癒」は望めません。病気には風邪など「治る」も?フと、高血圧や糖尿病、膠原病のように「コントロール」するしかないものがありますね。AIAは後者になります。

 この疾患の管理には難渋させられることが少なくないとされていて、ひどくなった分だけ対症療法を講じるというのが一般的な現状です。鼻茸も非常に再発傾向が強く、通気障害の度に減量・除去を図るしかない、というケースがよくあるようです。

 受けている投薬は一般的に行われている処方内容と言って良いと思います。テオドールとクラリシッド(同効薬を含む)の併用は、「いけない」訳ではありません。
 分解酵素が競合するので、血中濃度が上がることがあると言われているのですが、その程度は多くの場合臨床上問題にならないことが多いとも言われており、むしろ両者の相乗効果を重視する向きもあるくらいです。「医者のさじ加減」とでも申しましょうか。
 ですから、支障が出ない限りは併用する場合があります。体調の変化によってこの点は変わるでしょうから、そう言う治療を受ける以上は、定期的受診が必要なことは言うまでもありません。

 「喘息」の側面がある疾患ですので、本当に喘息症状なのかどうか内科的にもはっきりしておいた方がよいでしょう。世間一般には「咳が続くのは喘息」という認識が少なくないようですが、そう言うわけではありませんから。

ありがとうございました 

投稿者:まさ  投稿日: 5月25日(日)22時01分27秒

早速お返事をいただきありがとうございます。このHP(先生の回答)をとても有り難く心強く感じます。よろしくお願いします。
忙しい仕事の合間を縫って手術をしたのにもかかわらず、短期間に鼻茸が再発してしまって、加えて匂いもしなくなったので、とても残念です。
先生にもう少しお聞きしたいことを以下にまとめましたのでよろしくお願いいたします。

@アスピリン喘息はどのような方法で診断されるのでしょうか。(医学書に「鼻茸」「喘息」の両方がある場合と鼻茸が再発する場合はアスピリン喘息が疑われると書いてあったので、「私もそうなのか」と思ったのです。また、アスピリンで喘息発作を起こしたことはありません。喘息症状がでたのは、つい3ヶ月ほど前なのです。)
A鼻茸が再発しているのは左側だと診断されているのですが、右側が大丈夫なはずなのに…どうして嗅覚障害になるのかがわかりません。何か他の要因が考えられるのでしょうか。
B鼻茸の再発は、その「根っこ」を十分に取りきったら防げるのではないでしょうか。素人判断ではそう考えるのですが。

今「トーク」と「アルデシン」いう点鼻薬で様子を見るように言われています。しばらくがんばってみます。
時間に都合のつくときで結構ですのでよろしくお願いします。

1,先に記したとおり、自己診断の「喘息」が、まず本当に喘息であるかどうかが重要です。咳や呼吸器症状が続くと、何でもかんでもすぐに「喘息」としてしまう風潮が、一部の医療機関や世間一般に見られることは否めません。
 喘息、「気管支喘息」をしっかり見極め取り扱える、呼吸器内科に明るいドクターに診断を仰ぐことが重要です。本当は、そう言うドクターと、耳鼻科医が連携しつつ治療に当たれる体制が理想なのです。ですから、科を複合している「病院」にご相談されるのがよいでしょう。
 後は、鼻茸の病理像や血液所見などが診断の上で参考とされ、各症状と臨床経過からアスピリン喘息の診断は詰められていくものです。
 耳鼻科医としての一般的知識としてお答えするところでありまして、より専門的で個別的な突っ込んだお話は、しかるべきところでの診察の場でお願いしたく存じます。
2・3、鼻茸は、何もアスピリン喘息に限られるものではありません。「よくある慢性副鼻腔炎」に伴うケースがよっぽど多数を占め、また残念ながらこれらも再発傾向はあるのです。鼻腔通気構造や、体質的なもの、大気環境などで再燃・増悪は見られます。喫煙者は特に経過不良です。「根っこを取っ」て、再発を防ぐ努力はもちろん講じられるものですが、漠然と「体質的」とでも申しましょうか、残念ながら病的変化を再発しやすいケースは実際にあるものです。
 嗅覚障害は、アスピリン喘息では効率に併発するともいわれておりますが、慢性副鼻腔炎全般にしばしばみられるところです。他にも複合的な要因で生じる可能性はあります。慢性副鼻腔炎自体で考えても、ポリープによって嗅粘膜への通気がブロックされる場合と、粘膜の慢性炎症そのもので、嗅粘膜そのものが(しばしば不可逆的に)機能しなくなってしまう場合とがあります。
 前者は、鼻中隔彎曲を伴えば尚更に起こりやすくもなりますし、後者の可能性も考え併せれば、両側とも嗅覚障害を来して不思議はありません。
 これとは別に、しばしば感冒時に嗅粘膜がひどくダメージを受け、加療によっても回復しないケースがあります。諸々の複合的な可能性が考えられますが、鼻汁・鼻閉状態が悪いままでは、いずれにせよ回復の可能性は低いものと思われます。
 尚、トークの過剰使用は却って鼻閉を生じやすくします(「薬剤性鼻炎」)ので、使用頻度は抑えるよう、医師の指示を仰ぎながら続けてください。

(無題) 

投稿者:まさ  投稿日: 5月27日(火)23時50分20秒

遠藤先生ありがとうございました。
先生の細かな説明を受けて、自分の思い込みの部分も多々あるように感じました。
幸い近くの耳鼻科が呼吸器科のも診られていますので、少し突っ込んで相談してみます。
どうもありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。