ピアスの穴について・・・ 

投稿者:ゆえ  投稿日: 7月 2日(水)21時22分07秒

 こんばんは。以前、ピアスの穴あけについて、質問させていただいたものです。
ピアス、あけてみたんですけど、(市販のピアッサーでです。)1ヶ月たって、穴を見てみると、ちょっと耳のピアス穴が膿んでいるようなんです。しかも、ピアス穴のところが膨れてシコリみたいになっているんですけど、これは、1度受診してみていただいたほうがいいのでしょうか?それとも、消毒をまめにして様子を見たほうがいいでしょうか?

まず、ゆえさんに限らず、またピアスの件に限らず、いろいろな内容で、「受診した方がよいのか?」さらには「受診しなくても大丈夫か?、様子を見ていて大丈夫か」等のお問い合わせを、電話などでもしばしば受けます。

 しかし、「診ていないもの」についてそこまでの判断を求められてもお答えのしようがないことをご理解下さい。
 診察をしていない状態について、「心配ない、大丈夫です」とはいかなる場合も判断はできないのです。そう判断すること自体が、無責任な行為であるとは思いませんか?
 ともかく診察して状態を確認した上で、「要治療」から「治療不要」まで、すべての対処が始まるものと認識してください。
 受診するかしないか、という判断までは、各自の自己判断・自己責任において為されますよう、としか、原則として言いようがないのです。
 そして、耳鼻科医が様々な「耳の不具合」について、応じないはずもありません。受診されれば、まずはその具合について、可能な対応を果たすのが義務です。

 さてこれを大前提として理解願いたいと思います。
その上でひとつだけ、現在のゆえさんにあり得る可能性を挙げますと、「創部の感染・化膿」をまず懸念する必要があります。
 本当に「膿んで」いたら、しかるべき治療が必要です。いたずらに不安を煽るつもりはありませんが、ピアストラブルで耳介の膿瘍が数ヶ月も治らなかったり、それが元で耳介軟骨の変形を来す例というのもときにあります。この場合、ピアスを外さないと感染は治まりませんし、無論、開けた穴も塞ぐことになります。
 また、独自の「消毒」がどれだけ適切なものかも、こちらからはわかりませんし、ですから「それで大丈夫か」という判断も致しかねる、というのがお答えの限界です。
 ご自身で不具合を感じるようなら、まずは最寄りの耳鼻科を受診してください。

以下は、ピアス開けについて、一医師としての個人的な考えです。異論・反論も出るかも知れませんが・・・。
 ある必要な治療行為から偶発的に派生したトラブルならまだしも、ピアスは「健全な組織・器官」に、まったく医療上の必要もなく意図的に「外傷」を作るわけです。
 それが元でさらにトラブルが加わった場合、その始めの行為者が、治療や予防に努めるべき「医師」であるわけにはいかないのではないか、と考えております。

 医師の行為・判断は医学的必然性に基づくべき、というのが大原則であると考えております。ピアス穴開け自体は医学的な必要行為ではありませんよね。その後のトラブルに関しては言えば、まあ医学的必要ありとなりますが・・・
 ここまで言うと、「では美容整形は」という論議を呼ぶことになってしまいますが、ピアスの穴開け自体は、むしろそういう範疇に入るものですし、適否や責任はその医師と当事者間での了解においてなされるものと思います。

 私は耳鼻咽喉科医ですので、あくまでも耳鼻科の立場においてあずかれる範囲の診療業務に最善を尽くしたい、とだけ申しておきたいと思います。

 ただ、そういうトラブルを診るにつけ、「なにも不必要な傷をつけて『こんな状態』にならなくてもいいのにな」とも思わないわけにはいかないのです。
 少なくとも、その「原因を作る立場」に、医師だからこそ、敢えてなるわけにはいかない、と私は考えております。
 病気には、誰も好きこのんで罹る人はいないでしょう。否応なく罹患してしまった患者さんに対して、可能な最善の治療を行うことを医師として本義としています。でもピアストラブルは、元はといえば自らが招くアクシデントなんですよね。
 ただ、ピアスを開ける開けないは、各個人の自由、つまりは自己責任ですし、多くの場合、それでもトラブル無しで済んでいるのも事実ですから、そこまで踏み込んで是非の意見を言及するつもりはありません。
 また実際に、ピアストラブルから受診されたケースの「治療」にあたったことは何度もありますし、それ自体を厭うつもりではありません。
 でもひどいときは、かわいそうなくらい本当に難儀な治療になるのですよ。患者さん自身にとって。そっちの事実を目の当たりにしてしまうと、以上のような物言いにならざるを得ないのです。