突発性難聴の治療について 

投稿者:みっき  

投稿日: 3月 5日(金)15時59分32秒

母が高度突発性難聴と診断され入院し、プレドニン点滴治療を開始しました。
開始から1週間で聴力回復が見られ、点滴が中止されました。(その後服薬へと変更)
プレドニン治療終了後3日目より、発熱、強度の全身倦怠感、頭痛が出現し、胸部X?Pでは
肺炎像が見られました。この時点で、血小板が著しく低下(4.5万)し、CRP43と途方もない
数値でした。
プレドニン使用による感染症を誘発したものと思われますが、(後の結果、培養検査でMRSA検出)多分、院内感染でしょう・・・

尚、患者(母)は、慢性腎不全による透析治療中(8年目)で、現時点より過去3年間に
胸部解離性大動脈瘤の人工血管置換術3回、腹部動脈瘤など含めたOPEを計5回行なったばかりの
身体状況です。

耳鼻科医としてまず、このようなステロイド治療における注意すべき点と、発熱や倦怠感、頭痛などの
症状が出た場合、何を疑い、どのような対処をなされますか?
耳鼻科医として、また、医師としての一般論でかまいませんので、どうか教えて下さい。

みっきさんへ

投稿者:院長  

投稿日: 3月 7日(日)00時37分53秒

正直言って、色々な意味でお答えしづらいお問い合わせです。詳しい事情がわからず、断片的な情報だけでの判断を迫られるわけですし、こういった場でこういう問題にお答えすること自体、適当である確信が持てません。
 あくまでも「無責任な立場でのお答え」に過ぎない前提で捉えて頂きたいと存じます。
 まず、自身の経験においては、こういった基礎疾患、合併症、重大疾患の治療歴がある場合には、その全身管理については、それまでの主たる専門科に併診して頂くことを原則としていました。たとえば基礎疾患に対してステロイド使用の可否とか、耳鼻科としての必要性を重ねた検討をなるべくするようにしていました。当然、全身状態に関しては、双方の角度から見ることになります。
 たとえば透析医・心臓外科医の常識として、当該患者さんのコンディションで、ステロイドの投与がそれほどに早く重大な易感染性を招くことが、もし予見できるものであるとすれば、その判断を尊重することになります。そのときは、始めからやむを得ずステロイド投与を見合わすとか、そのかわり患者本人も、聴力の回復はある程度諦めるということで「よし」とするのか、という選択に迫られることにもなります。しかし現実には、そもそも投与もしないうちからそれほどの重症感染の急発を予見すること自体、なかなか難しいのではないかと思います。
 「大量のステロイド」が実際どれほどであったのかもわかりませんし、基礎疾患がどれだけ影響を及ぼしているものか、私の立場からは検討の付けようがないのです。
 一般論ですが、投与の時点現在で重大な感染症が見られなければ、感音性難聴にとっては出来るだけ早期のステロイド治療などを施したい(「遅れる」ことは「治療しない」に等しく、遅くなればなるほど治療の効果は期待できないからです。)だけに、なるべく投与したいところです。当初の投与という判断は、難聴治療を目指す積極的姿勢であると、私は捉えます。
 短期でそれほどの状態に陥ったとしたら、誠にお気の毒としか申しようがありませんが、果たしてそれは事前の体調から見て、予見できるレベルのものであったかどうか。

 前置きが長くなりましたが、それほどの重症な基礎疾患があって、経過中に体調変化を来した場合には、それらの急変なのかどうか、ということも大きな比重で想定されるところかと思います。つまりステロイドを使用していようといまいと、発熱・倦怠・頭痛程度の症状は起こりえはしなかったか? という点、そちらの専門ではないので言及はしかねます。
 血液検査が出そろわないうちから、「ステロイド投与だから、発熱・倦怠・頭痛を以て肺炎・敗血症と判断する」としたら、かなりのヤマ感でしかないと思います。
 もちろん、感染症もひとつの大事な可能性として視野に入れるべきなのは当然として、実際担当医は何らかの感染症の可能性を疑ったりもしたから、血液やレントゲン、喀痰検査などを行って、それらの結果を得たわけでしょう?
 「基礎疾患などからの症状変化」という可能性が常につきまとうので、挙げられた症状だけの時点での医学的判断は、簡単ではないと思います。
 ご質問への回答は、ともすれば際限のない話にもなりかねません。また質問の真意を測りかねますので、詳細を知らぬ第3者としてのお答えは、この程度でご容赦願いたく存じます。